最強甘々計画
私も塩河さんの体にしがみつく。塩河さんの着ているシャツからは、お菓子とは違う甘い匂いがした。甘党な彼を象徴するかのような匂いだ。
「私も、塩河さんのことが好きです」
そこから言葉を失った私たちは、じっくりと見つめ合う。それから無言のまま、初めての口づけを交わした。
角度を変えて、何度もキスをする。理性を抑えた甘めのキスはやがて、吐息混じりの、本能を剥き出しにした大人のキスへと変貌した。
「……塩河さんはもしかして私に、いたずらしたかったんですか?」
中性的な見た目の塩河さんからは見当もつかない熱情的なキスに、私は心も体もとろけそうになっていた。
「……かもね。俺、計算高いんだよね」
塩河さんが今度は、私の首筋に唇で触れる。
「あっ」
私は思わず、塩河さんの胸元を両手で押して、自分から離した。
「すみません、私、一日お風呂に入ってない体なので……」
塩河さんに愛されたい気持ちはあるけれど、自分の体が清潔とは言えないことが気になり、これ以上の行為は躊躇した。
「俺こそ女の子の気持ちも汲み取れず、ごめんね。今度泊まる時は、着替え持って来なよ」
塩河さんにしっかりと抱き締められる。
今日は十月三十一日。ハロウィンの日らしい。
日本独自の文化ではないので、ハロウィンがどういうものなのか未だに分かっていない部分もあるけど、今年が今まで過ごしてきた中で一番、幸せなハロウィンの日となった。