最強甘々計画
私はその後も彼氏となった塩河さんと、仕事終わりや休日に定期的に会っていた。
十一月の第二金曜日の夜。前に塩河さんに言われたとおりに着替えを持参して、彼の自宅に泊まる。
塩河さんはどら焼きや大福などの和菓子を、リビングのテーブルの上に置いた。
「ままれちゃんがこの中のお菓子を食べることができたら、俺がご褒美してあげる。それが次の計画」
「ハロウィンの時の、逆パターンになる訳ですね」
私は和菓子の中から、最中をチョイスする。塩河さんからの指示は、近頃最中を好物としている私にとっては、いとも容易く思えた。
「……食べました。おいしかったです」
私は最中を完食した後、淹れたての緑茶を啜る。
「うん、よくできました。ご褒美は、何がいい?」
「塩河さんの、お好きなように……」
私は女の自分から誘いをかけた恥ずかしさから、俯く。
「本当にそれでいいの? 少し乱暴になっても」
塩河さんからの問いに、私は無言のまま頷いた。
「……」
すかさず塩河さんが、私の唇を奪う。事前に言っていたとおり、キスはみるみると乱暴になっていく。
塩河さんは深いキスをしながら、私の上半身を、座っていたソファに押し倒した。乱れたキスをした舌で私の首筋を這い、私の着ているシャツの裾から右手を侵入させると、心臓辺りの、女性的な部分まで伸ばしてくる。
「あ、塩河さん……」
塩河さんからの男らしくも甘い攻撃に、私の中で眠っていた本能が呼び起こされそうになる。
「……今日はここまで。ままれちゃんのことを食べるの、付き合ってすぐと言うのも、体目当てみたいで嫌だし」
塩河さんが意地悪にも、行為を中断した。
「はい……」
「なんていい格好してるけど、本当はままれちゃんのこと、めちゃめちゃ食べたいと思ってる」
「はい……」
塩河さんの口から出た本音に興奮を抑えられず、私は両手で自分の顔を覆った。恥ずかしさから、顔の表面は見事に熱くなっている。
私も、塩河さんに食べられるその日を楽しみにしている。塩河さんの本能を、この目で見たい。