最強甘々計画
有名店だけに、店は営業時間開始とともに、私たち親子を含む予約客であっという間に席を埋め尽くした。
私も母も、バイキング形式に並ぶ色とりどりのケーキから、まずはストロベリーショートケーキを選んで皿に乗せる。
「お母さん。二十五年前の今日、私を産んでくれて、ありがとう」
ケーキを食べる前に、私は用意していたプレゼントを、母に渡す。
自分の誕生日は、毎年親に感謝をする日でありたい。私はこれからもずっと、そういう心掛けで自分の誕生日を迎えたい。
「まあ。この子ったら、そういう気遣いをするようになったの」
母が目尻いっぱいにしわを寄せ、プレゼントの箱を開ける。中身は塩河さんと一緒に雑貨屋で選んだ、ペアセットのマグカップだ。
「お父さんと一緒に使ってね」
両親に別々のものを贈るより、同じものを贈った方がいいんじゃないか? というのは、塩河さんのアイデアによるものだった。
「娘にこんなことされちゃ、あの仏頂面のお父さんも喜ぶわね。お父さんみたいな性格のことは……ええっと、ツンドラ? って言うんでしょう?」
「ツンデレだよ、お母さん」
仕事休みの父は、今は一人自宅にいる。娘の誕生日は、親子三人で仲良く過ごすことがベストなように思えるが、父は外食が苦手でましてや女性客の多いケーキバイキングの店なので、「女二人で行ってこい」と言われた。