最強甘々計画


 夕方からは、塩河さんの自宅を訪れる。


「お母さんとのケーキバイキング、どうだった?」


「ケーキ、一口は食べることはできたんですけど……克服とまではいきませんでした。だからイチゴを食べたり、タルトの上のフルーツ食べたり。でも、母も大満足だったようで、親子二人のとてもいい思い出になりました」


「うん、それでいいんだよ! 良かった、上手くいったみたいで」


 塩河さんが笑ってくれた。


 その直後、私のお腹が「グー」と鳴る。昼間のケーキバイキングではほとんど口にしなかったので、ここにやって来るまでに、大分空腹を感じていた。


「あっ……」


 鳴ったお腹を恋人に聞かれた恥ずかしさで、私は腹部を押さえる。


「お腹空いたでしょ? 食事にしようか」


 塩河さんに背中を押されながらリビングまで進むと、リビングのテーブルには、オードブルが置いてあった。


「うわー! 豪華!」


 円形の容器には、エビフライや鶏の唐揚げ、ハンバーグなど、幼心をくすぐるようなおかずでいっぱいとなっている。


「ままれちゃん、今日はお誕生日おめでとう」


 塩河さんと笑顔と会話の絶えない、楽しい食事をする。


「食後は――お煎餅と梅昆布茶!」


「わあっ!」


 塩河さんは食後のおやつとして、私がこれまでの自分の誕生日によく食べていたものを用意していた。


「今日はままれちゃんの誕生日。だから俺は、ままれちゃんの好きなものを理解したいな。と言っても、俺も煎餅も梅昆布茶も好きなんだけどね」


 二人の煎餅を齧る音が、室内に響く。自分の好きなものを恋人と味わうと、塩気の効いた煎餅がより美味しく感じられた。
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