最強甘々計画


 私は塩河さんに言われたとおりに、一人浴室まで向かう。


 シャワーの雨に打たれながら、塩河さんのことを考えていた。


 浴室を出れば、キス以上のことが待っている。私たちの関係が、より一層深くなる。


 この瞬間を待ち望んでいたと言わんばかりに、心臓がどきどきとしている。


 シャワーを浴びてからは、やがて冬も到来だというのに、バスタオル一枚を巻いた姿で出た。


「先にベッドで、待ってますね」


 私に告げられた塩河さんが何も言わずに、続いて浴室へと行く。


 寝室のダブルベッドに仰向けになった私は、白い天井を見つめていた。


 私は今夜、塩河さんに抱かれる――。


 塩河さんはどういう食べ方で、私を食すのだろう。


「あっ」


 暫くして、腰にバスタオルを巻いただけの塩河さんが寝室に現れた。華奢であるけれどもそれなりに筋肉のついた、バランスのいい体だ。


 塩河さんが壁にあるスイッチで寝室の電気を消し、ベッドへとやって来る。


「ままれちゃん、本当に……いいの? 後悔しない?」


「何でそんなこと、訊くんですか」


「……なんてね。ままれちゃんに今ここで『駄目』って言われても、我慢する気、ないけどね」


 私は暗闇で、塩河さんに抱きつく。


「塩河さん、私を――抱いてください」


「ままれちゃん、それは反則だよ。もう俺、今夜はままれちゃんとのこと、優しくできないよ」


 本能をさらけ出そうとする塩河さんの前に、私は目を閉じた。暗がりでする彼とのキスは、いつもよりもっといやらしく感じた。
< 39 / 62 >

この作品をシェア

pagetop