最強甘々計画
翌朝目を醒ましてから、生まれたままの姿で寝てしまったことに気づく。
それもそうか。昨夜は行為が終わった後はへとへとのあまり、衣類を身に付ける気にもならなかったし――。
「……へっくし」
その辺に舞う塵が鼻腔に入ったようで、私の口からくしゃみが出た。
「もしかして、風邪引いた? 裸のまま寝たから」
真横で寝ている塩河さんが、すかさず反応した。いつから起きていたのだろう。それとも私のくしゃみで、起きたのかな。
「あ、大丈夫です」
自分と同じように服を着ていない塩河さんに、私は思わず目を逸らす。
塩河さんの中にある本能を、昨夜は知りつくし、堪能してしまった。塩河さんの私の食べ方は、極上だった……。
「もっとこっち来なよ」
塩河さんが私を招くように、両腕を広げてくる。私は条件反射で彼との距離を縮め、平たくて硬い胸元に顔を埋める。
「あったかい……」
裸で抱き合っているのに、衣服を着用しているより温かいという不思議さがあった。
「今まで食べた中で一番、ままれちゃんが甘くて美味しかった」
塩河さんが私の髪を撫でながら言ってくる。
「〈ボクオ〉より甘いんですか?」
私は冗談っぽく返す。
「今日はいつもより仕事行くのが、怠いかも。ままれちゃんとずっと、こうしていたい」
「私もです」
「今日は仕事しながら、ままれちゃんとの昨日のこと、思い出すよ。にやけないようにしなきゃね」
「……」
塩河さんの昨夜の一連の流れを思い返すような発言に、私は彼の胸の中で、顔から火が出そうな勢いとなる。
昨夜の私は何故ああも、我を忘れて、心も体も塩河さんとの行為に積極的になれたのだろう。一夜が明けて冷静に思い返してみると、羞恥心に包まれる。その人前では言えない無我夢中さが、性交の醍醐味と言えば醍醐味なのだけど。
「ままれちゃん……」
塩河さんが唐突に、自分の唇で私の耳輪に触れてきた。彼と深い関係にばかりの私には分かる。これは、「合図」だ。
「駄目ですよ塩河さん。もう時間が……仕事に行く準備しなきゃ……」
「『駄目』って言われても我慢しないって、言ったでしょ?」
塩河さんは耳元でそう囁き、耳輪を舐めてくる。
「――」
私は意地悪で強引な塩河さんの裏の顔が、とても好きだった。
それからは私も塩河さんに拒むことなく、理性のリミッターを外していく。