最強甘々計画
月曜日の出勤に、いつも以上の気だるさを感じる。部に着いた私は、自分のデスクに座った。
寝不足だし、体に疲れもある。腰もちょっと痛い。昨日の夜から立て続けに、今朝も塩河さんに激しく愛されたばかりなのが響いているのかな――。
塩河さんとの濃厚な一時が、尾を引いている。
今日は仕事に身が入らないかも。理性のない塩河さんのあんな姿をまざまざと見せつけられた後だと、尚更――。
――愛してるよ、ままれちゃん。
ベッドの上での塩河さんは体で私を愛するばかりでなく、耳元でも愛をたくさん囁いてくれた。吐息に混ざる甘い響きが、二人だけの夜にエッセンスを加えた。
塩河さんが彼が今まで食べてきた中で私が一番甘いというならば、私が今まで生きてきた中で一番、昨夜が甘い夜だった。
私は甘いものが食べられないだけで、決して甘いことが苦手な訳ではないんだな、むしろ自分から求めたくなるほど大好きだ――なんて。
「ままれん、昨日は誕生日おめでとう! はいこれ、私からままれんに、一日遅れの誕生日プレゼント!」
私のデスクまでやって来た奈津が、ギンガムチェックの小袋を渡してきた。 毎年お馴染みとなっている奈津からの誕生日プレゼントに、変わらない喜ばしさを感じている私は早速、小袋の中身を取り出す。
「『ままれ』だけに、ママレード! これなら甘いものが苦手なままれんでも、食べられるでしょ」
奈津がくれたのは、瓶詰めのオレンジママレードだった。
「うわー、嬉しい。ありがとう!」
自分の名前と近いのに、私はママレードはほとんど口にしたことがない。ママレードは食パンに塗って食べるイメージだけど、私はその食パンは大体サンドイッチにしかしないから。
「昨日は何かいいことあったの? なんか顔が嬉しそうだよ」
奈津がにやついた表情でこっちを見ている。
「昨日は母親と過ごしたけど……」
塩河さんと付き合うようになったことは、奈津には近々報告しなきゃな。
――すごく可愛いよ、ままれちゃん。もっとこっち、見て?
ああ、やばい。ベッドの上での塩河さんを、また思い出してきた。