最強甘々計画


「塩河さん、私、ちょっと太ったみたいです……」


「えー? そう? 全然太ってないし、ままれちゃんは痩せてる方だよ。気にしすぎだよ。食べてすぐに、体重を測ったからじゃない?」


「それでも、一キロは太りませんよね?」


 塩河さんがそっと、私の腹部をつまむ。


「ほら、肉もそんなについてないじゃん」


 塩河さんに指摘され、改めて自分のお腹まわりを意識すると、以前より動きにくさを感じてくる……。


「私、今日からダイエットします。食べ過ぎないように気をつけて、運動します」


 華奢な塩河さんを前に、私は宣言した。彼氏である塩河さんが細身だからこそ、彼女として太りたくないのである。


「ままれちゃん、そんなに痩せたい?」


「きゃっ」


 塩河さんが唐突に、両腕で私の体を抱きかかえた。


「俺が協力してあげようか? 激しいのでいいなら」


 塩河さんは私を抱えたまま、寝室へと移動する。


 ベッドの上に寝かされた私は、そこでようやく気づいた。塩河さんが立ててくれた数々の甘々な計画たちはすべて、最後に私が彼に食べられるためにあったことに――。


「あ、塩河さん……」


 塩河さんは今度は、私のダイエット計画を立ててくれるみたいだ。塩河さんにこんな風に激しく愛されるなら、私もすぐに痩せられそうである。
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