最強甘々計画
最強甘々聖夜


 クリスマス。日本ではどこか、恋人と過ごすものという風潮がある。


 今年のクリスマス・イブは、木曜日のようである。塩河さんと付き合っている私は、クリスマス・イヴの翌日も仕事でありながら、二十四日の夜に彼と二人で過ごす予定を立てていた。


 塩河さんは既に、私たちだけの聖夜のために、高級ホテルのスイートルームを予約してくれているらしい。


「塩河さん! 私、五○○グラム痩せてました!」


 私は毎朝欠かさない体重測定を済ませてから、リビングで朝の情報番組を観ている塩河さんに、体重が減少したことを報告する。


 自分の誕生日を過ぎてすぐに決意した、私のダイエットも順調であった。無理な食事制限は塩河さんを心配させるので、極端なことはせず、時間に余裕がある時はエレベーターではなく階段を使ったり、仕事終わりに多めに歩くようにしたりを心掛けている。私のその地道な努力は、目に見えた成果として現れてくれているようだ。


「俺も昨日測ったら、五○○グラム痩せてた。甘いものを食べなくなったからだろうね」


 塩河さんが言った。


「えっ、今でも痩せてるのに、まだ痩せるんですか……」


「俺は逆に、太った方がいいかもね」


「わー、羨ましい……」


「二十四日が楽しみだね。早く来ないかなあ」


 塩河さんが私のことを抱きしめてくる。


「はい――」


 私も塩河さんに、しっかりと抱きつく。甘いものを食べなくなった私たちだけど、甘い生活はずっと健在である。
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