最強甘々計画
「こんなことなら、塩河副部長も誘えば良かったですね。知ってます? 塩河副部長って高校時代、野球部のエースだったみたいですよ」
林くんが私に言った。
「へー、そうなんだ……」
塩河さんの高校時代の話なら既に本人から訊いているが、平さんがいる手前、私は初めて知ったかのような反応を取る。
「鳴はあたしがいると来ないでしょ。それに鳴は今、新しい彼女に夢中なんじゃない」
平さんが腕を組んだまま、林くんに言った。
平さんは今、塩河さんのことを下の名前で呼んだ。二人が親密な間柄だったのは、間違いないようである……。
「確かに。塩河副部長ってこの頃、彼女から作ってもらったっぽい弁当を、お昼に食べてますもんね!」
林くんが顔をにやつかせて言った。その弁当を作っているのはまさに私なので、ひやりとする。
塩河さんと付き合っていることは会社で隠したい訳ではないけど、わざわざ公にすることもないし、誰にもまだ伝えていない。