最強甘々計画


「サチー」


 私たち三人の元に、二人の女性が現れる。他の企画部の社員のようだ。私はその場で、彼女たちにも挨拶をする。


「今皆で、塩河副部長も連れてくれば良かったって、話してたんですよ」


 林くんが女性たちに伝えた。


「えっ、あんた夫も子供もいるのに、元カレに未練あんのー?」


 一方の女性が、平さんに向かって叫ぶ。彼女のリアクションで、塩河さんと平さんが付き合っていたことが、この場で確定となる……。


「そんな訳ないじゃない、あたしから振ったんだから。そんなことも忘れてたくらい、今は旦那と子供に夢中だよ」


 平さんがきっぱりと言い切った。女性たちはそこから、既婚で子持ちの平さんを冷やかし始める。


 ――あたしから振ったんだから。


 塩河さんと平さんの交際は、平さんから終止符を打ったようだ。


 ――そんなことも忘れてたくらい。


 平さんに暗に「自分が振った男と付き合ってる」と言われ、下手に見られているみたいで、私の気分はもっと悪くなった。
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