最強甘々計画
そして今年も残すところ後わずかとなり、十二月二十四日は瞬く間にやって来た。
聖なる夜の街は、冬らしいきらびやかなイルミネーションに包まれている。
私と塩河さんはホテルの最上階にあるレストランで夕食を取った後、予約していたスイートルームに入った。
「うわーっ! 素敵なお部屋」
白を基調としたリビングルームとベッドルームが一対となった部屋はおよそ二十平米の広さらしく、優雅で贅沢な空間となっている。窓から眺望できる夜景も最高だ。
「私、スイートルームの『スイート』ってずっと、甘いって意味のsweet(スイート)だと思ってました。suite(スイート)には、一揃いや一式っていう意味があるんですね」
「ままれちゃんといれば、甘い部屋なのには間違いないね」
窓に映る聖夜の街を見ていた私を、塩河さんが後ろから抱きしめてきた。
「ままれちゃん、一緒にお風呂に入ろっか!」
それから塩河さんはバスルームがある方向目掛けて、私の腕をぐいぐいと引っ張りながら足を進める。
「えっ、恥ずかしいですね……」
塩河さんとはまだ、一緒にお風呂に入った経験はなかった。
「俺らもう、お互いの体を知り尽くしてる仲なのに?」
「もー、そういう風に言わないでください……」
「脱がすよ」
塩河さんがたちまち獲物を逃さないかのような本能的な目をして、私の着ているシャツのボタンに手を掛ける。
そうして私たちは二人でいてもゆとりのあるバスルームで、仲良くお互いの体を洗い合う。
「ここじゃ駄目ですよ、塩河さん」
塩河さんはシャワーに打たれながらも、私へのスキンシップを惜しまない。
「えー? どうして?」
「せっかくのスイートルームなんだし、ベッドでの方が雰囲気が出るから……」
私は言い終わってから、恥ずかしげもなく、塩河さんに抱かれることを期待していたみたいな言い方をしてしまったと気づく。だけど本当に、この夜を待ち望んでいた。
「それもそうだね。今夜はままれちゃんの希望を叶えるよ」