最強甘々計画


 すぐにバスルームを出て、窓際にあるダブルベッドの上で二人生まれたままの姿となり、甘美な一時を過ごす。


「塩河さん、すごくいいです……」


 目の前の獣みたいな塩河さんに、私は夢中になっていた。


 前に塩河さんに宣言されたとおりに、今この時しか見えなくなる。今でも自分には完璧に自信がある訳じゃない。しかし余計なことは考えない。私は塩河さんにすごく愛されているのが分かっているし、実際にすごく愛されているから。


「十二月なのに、汗がすごいです。塩河さんが相変わらず激しいから……」


 愛し終わった後、私は手のひらで額の汗を拭う。塩河さんの額も、湿っぽい。


「え、俺だけなの? ままれちゃんだってすごかったよ」


「やだ! それ以上は言わないでください!」


 私は目をぎゅっと瞑った。


「ははっ。かわいい」


「こんなにいい部屋を明日の朝には出なければいけないなんて、もったいないですね」


 私はスイートルームを見渡す。バスルームにベッドルーム、性交に必要なものが密接した構造となっている部屋だと、塩河さんとの行為もいつも以上に盛り上がった。


「また来ようね」


 塩河さんが私の手を握る。


「ままれちゃん、あのさ――」


 そして耳打ちをしてきた。


「えっ、いいんですか?」


 塩河さんが耳元で提案してきたことは、私自身もいつかそうなればいいのになと思っていたことだった。


「ままれちゃんがいいなら、俺は大歓迎だよ」


「すごく嬉しいです。それじゃあ、そちらの方向で考えておきます――」


 私は塩河さんの胸に埋まる。


「塩河さん、大好きです」


「……俺ね、甘いものはずっと食べてないんだ」


「ですね」


「人間って不思議だね。よく食べていたものでも、ぱたっと食べなくなると、それが平気になるんだね。でも――」


 そこで塩河さんが、私に覆い被さってくる。


「どんなに甘くても、ままれちゃんを断つなんて、絶対に無理だよ」


 塩河さんは激しい行為の後による休息も束の間、また私に襲い掛かってきた。塩河さんといるならば、このスイートルームはsweet(スイート)の方の意味で相応しい。
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