壁の中の手紙
「ゴメンね、本当は自分で燃やさなきゃならない手紙だったのに……」
 私は幼子のころと同じように、母の胸に顔を埋めている。母は片腕を私の背中に、もう片方の手でしきりに私の頭を撫で回している。
 そのとき私は、母が出てきた理由がわかったような気がした。
 母が何よりも心配したのはこの手紙の所在などではなく、この手紙を見つけてしまった私の……
「母さん!」
 不意にぬくもりが消えた。灰皿の中で手紙の燃え残りがまだくすぶっている。
 私の涙は……もう止まっていた……

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