アクシペクトラム
1.交通事情によりこんな事もありマス
この二人はいったいどなた?
震える指でEnterキーを押したのは一週間前のこと。
ネット通販はなんて便利だろうといつも思っていたけども、
誰にも見られず知られずに商品を購入することも、その商品次第で緊張するものなんだなと経験してみてわかった。
でも、まさかこんな事になるなんて…。
「ホントにすいませんでした!」
目の前で茶髪の若い男の子が、腰を直角以上に深く曲げて必死に頭を下げている。
その隣には彼の上司と思われる男性が、これまたせっかくのスーツが皺になっちゃうんじゃないか思うくらい、頭を深々と下げている。
「弊社の従業員が、大変ご迷惑をおかけしました」
どうしてこんなことになったんだっけ…?
目の前の二人の顔に見とれて部屋に通したはいいけども、いまは彼らの顔も全く見えない。
数分前の記憶を探して、頭の中をぐるぐるさせていると、何も言わない私に若い方の彼が視線を向ける。
「あのっ…」
頭は下げたまま上目遣いの瞳とぶつかり、ふいに胸の奥が音を立てた。
あ、やっぱり結構カッコイイかも…。
「いいから、お前は黙ってろ」
すぐさま隣りにいた上司が、若い男の子の頭を押さえつける。
お洒落なビジネススーツにシルバーの縁取り眼鏡が映え、その奥の瞳がこちらを見つめる。
真摯な瞳が私に注がれ、私は胸が苦しくなったついでに耳まで熱くなる。
同じ年か少し上くらいかな…、こっちはクールな感じ。
「それで、ご注文された商品なんですが」
声をひそめてクール系上司が目を伏せる。
ん?商品?商品って……。
「あーーーー!」
ぐるぐるしていた頭の中に急に光が射し、私は思わず叫んでしまった。
ネット通販はなんて便利だろうといつも思っていたけども、
誰にも見られず知られずに商品を購入することも、その商品次第で緊張するものなんだなと経験してみてわかった。
でも、まさかこんな事になるなんて…。
「ホントにすいませんでした!」
目の前で茶髪の若い男の子が、腰を直角以上に深く曲げて必死に頭を下げている。
その隣には彼の上司と思われる男性が、これまたせっかくのスーツが皺になっちゃうんじゃないか思うくらい、頭を深々と下げている。
「弊社の従業員が、大変ご迷惑をおかけしました」
どうしてこんなことになったんだっけ…?
目の前の二人の顔に見とれて部屋に通したはいいけども、いまは彼らの顔も全く見えない。
数分前の記憶を探して、頭の中をぐるぐるさせていると、何も言わない私に若い方の彼が視線を向ける。
「あのっ…」
頭は下げたまま上目遣いの瞳とぶつかり、ふいに胸の奥が音を立てた。
あ、やっぱり結構カッコイイかも…。
「いいから、お前は黙ってろ」
すぐさま隣りにいた上司が、若い男の子の頭を押さえつける。
お洒落なビジネススーツにシルバーの縁取り眼鏡が映え、その奥の瞳がこちらを見つめる。
真摯な瞳が私に注がれ、私は胸が苦しくなったついでに耳まで熱くなる。
同じ年か少し上くらいかな…、こっちはクールな感じ。
「それで、ご注文された商品なんですが」
声をひそめてクール系上司が目を伏せる。
ん?商品?商品って……。
「あーーーー!」
ぐるぐるしていた頭の中に急に光が射し、私は思わず叫んでしまった。