アクシペクトラム
5.再配達は君以外、受け付けませーん

手書きのメッセージ

普通のOL生活が再び始まり、私は以前と同じようにネット小説を更新していた。
通販で頼んだ荷物を見られたり、それをネタにデートすることになったり、
普通でないことがこの数日間でたくさんあったが、それも今後の小説に生かそうと私はプラスに考えていた。
実際、アブノーマルなのが見たいです、と感想をくれた人からも、
『今回もとてもドキドキしました、希望をきいてくれてありがとうございます』
などと嬉しい書き込みも貰えたので良かった。
あれから白羽くんとも会うはずもなく、特に問題もなかったので龍宮さんとも連絡をとっていなかったのだが…
この日、私は仕事から帰りポストを開けて呆然とする。
田舎の母親が何か送ってきたらしいが、私は仕事に行ってて受け取れず、代わりに不在連絡票が入っていた。
当然、再配達をお願いしようと連絡票を裏返したところ、担当ドライバーに“白羽”と書かれていたのだった。
おまけにその下に、“何時でもいいから電話して080-××-○△”と手書きでメッセージがあった。

「カオリ?荷物受け取ったかい?」
電話越しに母に尋ねられる。
何か送るなら受け取れる日くらいあらかじめ聞いてよと思った。
「仕事でいなかったから…、明日か明後日にコンビニで受け取るよ」
それなら直接、宅配便が家に来ることもないだろう。
なんだか、今は白羽くんには会いたくなかった。
「それじゃダメよ~、生ものたくさん入れたんだから」
「生ものって、お母さん何入れたの?」
うちの母親は思い立ったらすぐ行動してしまう。
後先考えないところは私も似ているらいしが、さすがに勢いで生ものは送らない。
「そうね…リンゴでしょ、トマトにとうもろこし、金平ごぼうに肉じゃが、あとはサバ寿司ね。とにかく今日中に受け取るのよ、いいわね」
ガチャンと一方的に電話が切れる。
母は言いたい事だけ伝えるといつもこうだ。こちらの話は滅多に聞かない。
なんで普通のおかずまで…
時計を見ると再配達可能な時間はもう過ぎていた。
営業所に電話をかけて他のドライバーにお願いすることはもうできない。
「あーもうっ!」
仕方ないっ…
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