アクシペクトラム
彼は軽傷、私は重傷です
「事故って…」
荷物が外に出るほどの衝撃を想像し、私は背筋が震えるのを感じた。
きっと顔が青ざめていたのだろう、それに気づいた龍宮さんがすぐに付け足す。
「幸い、白羽は軽傷で済みました。」
良かった…。私は、龍宮さんの言葉にほっと息をつく。
「へへっ、ラッキー」
茶髪の若い男の子もとい、白羽さんが指で頬をかく。
配達員の制服を着ているが、バツが悪そうに笑う顔はアイドル並みで、どこか人を惹きつける雰囲気がある。
「普段から体は鍛えてるんで」
白羽さんの腕や頬など、いたる所には絆創膏が貼ってあった。
ごほんと咳払いをして、龍宮さんが眉をひそめる。
「しかし、配送中だった荷物は軽傷ではなく、こうやって一件一件お詫びに伺っている次第です」
「そうですか…」
やっと状況が理解できた私の視界に、テーブルに並べられた大人のオモチャたちが映る。
「…っ!」
途端に変な汗が額に浮かび、私はぐちゃぐちゃに潰れた段ボールでそれらを覆い隠す。
「これはっ、その」
よりによって、こんな芸能人みたいなカッコイイ人たちに見られるなんて。
きっとこの人達も、こんな物をたくさん買うほど飢えてるのか?とか、通販だと他人に知られないとでも思ったのか?などと内心思ってるはずだ。
言い訳したいが、今日会ったばかりの人に、ましてや配送業者さんに言い訳するのもなんだか気がひける。
でも、誤解されたままなのも嫌っ…!
心臓の音が爆弾のように頭に響き、私は顔を伏せたまま固まった。
すると、
「こちらは荷物が無事で何よりです」
頭上から龍宮さんの穏やかな声がした。
はっとして顔を上げると、
さっきまでたんたんと説明していた龍宮さんが、目元を細めて少しだけ笑みを浮かべていた。
爆発しそうだった心臓が、ゆっくりと甘い鼓動に変わっていく気がした時…―
「サトーさんって、満たされてないの?」
「へ?」
いたずらっぽい声が浴びせられた。
荷物が外に出るほどの衝撃を想像し、私は背筋が震えるのを感じた。
きっと顔が青ざめていたのだろう、それに気づいた龍宮さんがすぐに付け足す。
「幸い、白羽は軽傷で済みました。」
良かった…。私は、龍宮さんの言葉にほっと息をつく。
「へへっ、ラッキー」
茶髪の若い男の子もとい、白羽さんが指で頬をかく。
配達員の制服を着ているが、バツが悪そうに笑う顔はアイドル並みで、どこか人を惹きつける雰囲気がある。
「普段から体は鍛えてるんで」
白羽さんの腕や頬など、いたる所には絆創膏が貼ってあった。
ごほんと咳払いをして、龍宮さんが眉をひそめる。
「しかし、配送中だった荷物は軽傷ではなく、こうやって一件一件お詫びに伺っている次第です」
「そうですか…」
やっと状況が理解できた私の視界に、テーブルに並べられた大人のオモチャたちが映る。
「…っ!」
途端に変な汗が額に浮かび、私はぐちゃぐちゃに潰れた段ボールでそれらを覆い隠す。
「これはっ、その」
よりによって、こんな芸能人みたいなカッコイイ人たちに見られるなんて。
きっとこの人達も、こんな物をたくさん買うほど飢えてるのか?とか、通販だと他人に知られないとでも思ったのか?などと内心思ってるはずだ。
言い訳したいが、今日会ったばかりの人に、ましてや配送業者さんに言い訳するのもなんだか気がひける。
でも、誤解されたままなのも嫌っ…!
心臓の音が爆弾のように頭に響き、私は顔を伏せたまま固まった。
すると、
「こちらは荷物が無事で何よりです」
頭上から龍宮さんの穏やかな声がした。
はっとして顔を上げると、
さっきまでたんたんと説明していた龍宮さんが、目元を細めて少しだけ笑みを浮かべていた。
爆発しそうだった心臓が、ゆっくりと甘い鼓動に変わっていく気がした時…―
「サトーさんって、満たされてないの?」
「へ?」
いたずらっぽい声が浴びせられた。