アクシペクトラム
彼は集荷もするそうです
「前に言わなかったけ?この地区は俺の担当だって」
「だって、あなたは配達じゃ…」
「いやいや、配送途中で集荷もあったら受け取るよ。で、荷物それ?」
白羽さんが玄関に置いていた箱を指差す。
これだけど…なんか気まずいな……
「もしかしてコレ、この間のオモチャ?」
「な、何の事かなー…」
笑って誤魔化すが、背中を冷や汗が伝い頬が引きつってしまう。
「ふーん」
そんな私を見て、急に白羽さんが声を大にして笑う。
「まさかサトーさんみたいな人があんなアダルトグッズ使うなんてね」
「ちょっ!」
私はとっさに白羽さんの腕を引っ張り、中に入れて玄関ドアを閉める。
「近所に聞こえたらどうするの!」
ドアを背にして睨むと、白羽さんがにやりと口角を上げる。
「だって本当のことじゃん」
「だからそれはっ…」
「で、これもういらないの?」
じりじりと壁に追いやられ、いたずらな瞳が私に近づく。
「送り返すくらいだから“良くなかった”とか?」
その言葉に一気に私の顔が熱く火照っていく。
「真っ赤になっちゃって、サトーさん可愛い」
吐息が触れる距離で囁かれ、白羽さんが指先で私の唇を撫でる。
「っ!!」
私は咄嗟に白羽さんの体を押し返した。
「私はオモチャなんか嫌ですっ…!」
狭い玄関に私の声が大きく響く。
その声量に驚いたのか、白羽さんが目を見開いていた。
わたしったら何言ってるんだろっ…
二人しかいない玄関で、どこか隠れられる穴があったら入りたい気持ちに駆られる。
その沈黙を割るように、白羽さんが突然くすくす笑い出す。
「サトーさんって、なんか予想外すぎて面白い」
「ねぇ、今度デートしてよ」
どんな会話の流れでそうなるのか、白羽さんの口から思いがけない言葉が聞こえた。
「デート…?って誰と誰が?!」
「俺とサトーさんに決まってんじゃん」
さらりと言って、白羽さんは腰に下げていた端末を操作し始める。
なんでそうなるのっ?!
私の心の声など無視して、端末でぴーっとバーコードを読み取り、白羽さんは何もなかったかのように段ボールを持ち上げる。
「お荷物は承りましたっと、…じゃぁ来週の日曜10時に駅前で待ち合わせね」
「ちょっと待って私はっ…」
「デートしてくれないと近所に荷物のこと言いふらすかも」
白羽さんが満面の笑みでドアノブに手をかける。
たった今、脅しにも似た言葉を聞かなかったら、間近でこの笑顔が見れたのは神様のご褒美かなんかかなって思っていただろう。
「そうゆうことで、約束ね」
一方的に告げられて玄関ドアが閉まる。
「うそ…でしょ……」
せっかく元凶だった荷物を送り出したのにも関わらず、私は新たな問題に頭が重くなるのを感じた。
「だって、あなたは配達じゃ…」
「いやいや、配送途中で集荷もあったら受け取るよ。で、荷物それ?」
白羽さんが玄関に置いていた箱を指差す。
これだけど…なんか気まずいな……
「もしかしてコレ、この間のオモチャ?」
「な、何の事かなー…」
笑って誤魔化すが、背中を冷や汗が伝い頬が引きつってしまう。
「ふーん」
そんな私を見て、急に白羽さんが声を大にして笑う。
「まさかサトーさんみたいな人があんなアダルトグッズ使うなんてね」
「ちょっ!」
私はとっさに白羽さんの腕を引っ張り、中に入れて玄関ドアを閉める。
「近所に聞こえたらどうするの!」
ドアを背にして睨むと、白羽さんがにやりと口角を上げる。
「だって本当のことじゃん」
「だからそれはっ…」
「で、これもういらないの?」
じりじりと壁に追いやられ、いたずらな瞳が私に近づく。
「送り返すくらいだから“良くなかった”とか?」
その言葉に一気に私の顔が熱く火照っていく。
「真っ赤になっちゃって、サトーさん可愛い」
吐息が触れる距離で囁かれ、白羽さんが指先で私の唇を撫でる。
「っ!!」
私は咄嗟に白羽さんの体を押し返した。
「私はオモチャなんか嫌ですっ…!」
狭い玄関に私の声が大きく響く。
その声量に驚いたのか、白羽さんが目を見開いていた。
わたしったら何言ってるんだろっ…
二人しかいない玄関で、どこか隠れられる穴があったら入りたい気持ちに駆られる。
その沈黙を割るように、白羽さんが突然くすくす笑い出す。
「サトーさんって、なんか予想外すぎて面白い」
「ねぇ、今度デートしてよ」
どんな会話の流れでそうなるのか、白羽さんの口から思いがけない言葉が聞こえた。
「デート…?って誰と誰が?!」
「俺とサトーさんに決まってんじゃん」
さらりと言って、白羽さんは腰に下げていた端末を操作し始める。
なんでそうなるのっ?!
私の心の声など無視して、端末でぴーっとバーコードを読み取り、白羽さんは何もなかったかのように段ボールを持ち上げる。
「お荷物は承りましたっと、…じゃぁ来週の日曜10時に駅前で待ち合わせね」
「ちょっと待って私はっ…」
「デートしてくれないと近所に荷物のこと言いふらすかも」
白羽さんが満面の笑みでドアノブに手をかける。
たった今、脅しにも似た言葉を聞かなかったら、間近でこの笑顔が見れたのは神様のご褒美かなんかかなって思っていただろう。
「そうゆうことで、約束ね」
一方的に告げられて玄関ドアが閉まる。
「うそ…でしょ……」
せっかく元凶だった荷物を送り出したのにも関わらず、私は新たな問題に頭が重くなるのを感じた。