茶髪くんと日陰ちゃん
急にピタッと止まって風間君が言う。
「お前が今日知りたがってた男の名前って志月?」
それがどうしたのか…
「うん…そうだよ…?」
私がそう言えば風間君はクルッと振り返る。
「志月はやめとけ。
絶対好きになるなよ」
そう一言だけ言うと私の顔をジッと見る。
その風間君の目に私は何かを見透かされているような感覚になった。
「わ…私は別にそんなんじゃ…」
否定の言葉を早く言わないとという気になる。
「それほんとかよ?
名前気になって、声までかけてんのに?」
…なんで?
どうして風間君に言われなきゃいけないの……?
「…私は恋愛しちゃいけないの?」
無意識にそんな言葉が口から出ていた。