しあわせのかたち
「もう少し、時間いい?」


レストランで食事を終え、車に乗り込んだ時に、そう聞かれた。


「はい」


まだ私は返事をしていないから、帰るわけにはいかない。

だけど、何処に行くのだろうと思いながら、私は碓井主任を見る。

碓井主任は私を見ながら微笑むと、前を向き、車を走らせた。

そして、しばらく車を走らせ、着いた場所は……


「わぁー。綺麗ー」


夜景の見える丘だった。


「ここからの夜景を七海と一緒に見たかったんだ」


私の隣に立つ碓井主任は笑顔で私を見つめている。

そんな碓井主任の視線に、私の心はドキドキと早くなる。

でも、私は……


だから、主任。

そんな優しい笑顔で私を見ないで……


「主任……。あの……」


話し出す私を、碓井主任はじっと見つめたまま。


「ごめんなさい。あの、主任とはお付き合いできません」


そして、私は勢いよく頭を下げた。



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