しあわせのかたち
「どんな答えでもいいから、今、俺の事をどう思っているのか、教えて」


碓井主任は私から視線を逸らさず、じっと見つめたままそう言った。


「……今も、主任の事は気になります。でも、これが好きなのか、違うのか、わからないんです。だから、自分の気持ちに自信が持てなくて……」


告白を断ったのに、こんな気持ちを話すのはどうかと思いながら、自分の素直な気持ちを話した。


「じゃぁ、期待してもいい?」

「えっ?」


思ってもいない答えが返ってき、私は驚く。


「今日の七海を見て、七海の答えはわかっていた。だから、それを受け入れようと思っていた。でも、七海の態度を見て、言葉を聞いて、気が変わった」


そう言うと、碓井主任は私の両腕をそっと掴み、自分の方に向ける。


「俺の事、気になってくれているんだろう?じゃぁ、これから、俺の事をもう一度見て。それから、また返事をして。俺、待つから……」


碓井主任の言葉に驚き、私は何も答えられないでいた。


「これからは、時間が許す限り会おう。ごめんな、諦めが悪くて。でも、俺……、こんなに人を好きになったのは、初めてなんだ」


碓井主任の告白を断った私なのに、なんて勿体ない言葉なんだろう……

だけど、嬉しい。

そんなに想って貰えるなんて。

私、幸せだ……


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