しあわせのかたち
そして、しばらく抱きしめ合っていた私達。

だけど、


「七海」


今度は少し熱をもった声で、耳元で名前を呼ばれる。

私は碓井主任の腕の中から、また顔を上げる。

すると、碓井主任の顔が近付いてき、私は自然と目を閉じる。

そして、私の唇に碓井主任の唇がそっと触れた。

一瞬のことだったけど、私の心はドキドキと煩いくらいに早くなり、顔もさらに真っ赤になっていたと思う。

碓井主任はそんな私を見て、フッと頬を緩め、私をぎゅっと抱きしめる。

そして、


「これからも忙しい時はあまり会えないと思う。でも、出来るだけ連絡をするようにするから……。だから、これからもずっと俺の側にいて欲しい」

「はい」


碓井主任の言葉に、私は胸の中で頷いた。


「まぁ、俺の方が七海に会えなくて、我慢出来なくなりそうだけどな」


ははっと笑いながら言う碓井主任の顔を見ると、碓井主任は愛おしそうに私の事を見ていた。





私の事をすごく大切に思ってくれる人がいる。

それは、恋人だけじゃない。

友達も私の側に居る。

それだけ、沢山の人に思われている私って、

すごく幸せだと思う。


私だけじゃなく、私も周りの人達に“幸せだ”と思って貰えるように、何かを与えられる人になりたいな――…



【End】


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