しあわせのかたち
俺の引継ぎが終わった頃――…


俺の異動前にいた主任の送別会兼、俺の歓迎会が行われる。

案の定、俺の周りには俺に興味を示した女性社員達が座った。

そして、飲み始めると、「彼女はいるのか」とかいろいろ聞いてきたり、ベタベタと触れてきたり……

正直、面倒くさくなった俺は、「トイレに行く」と席を立ち、その後、元居た席には戻らず、七海達の所へ避難した。

ここなら、煩わしい事にならないだろうと思って。

七海達に声を掛け、二人の目の前に座る。

すると、


「碓井主任って独身でしたよね？今、彼女いるんですか？」


須賀がすごく楽しそうに聞いて来た。

同じ質問でも、須賀は男として俺に興味を持っていないのは態度でわかっていた。

だから、俺も、「二年位、彼女はいないかな」と、普通に答えた。


「あれ？じゃぁ、あの噂はデマだったのかな？」


と彼女がボソッと呟いた声が聞こえた。


「噂って何だ？入社後すぐに大阪支社に配属になったのに、本社で俺の噂が流れていたのか？」


入社してから本社異動になるまで大阪支社で働いていた俺の噂が、本社で流れていた事に少し驚く。


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