しあわせのかたち
「えっと、あの……」


まぁ、よくない噂なのだろう。

須賀は言いにくそうに言葉を詰まらす。

須賀の隣に座る七海は、俺の噂なんて聞いた事がないみたいで、きょとんとしている。

そんな七海をみて、“可愛いな”なんて思っていた。

それは、子供や小動物をみて可愛いと思うような感じで。

須賀はそんな七海に、


「大阪支社に、仕事が出来てカッコイイ人が居るって話。その主任がうちに異動してくるってなったから、主任の異動初日、先輩達、気合入っていたでしょ?」

「うん」

「えっと……、主任はモテるって事よ。うん、そう。そうなの!」


俺が目の前に居る手前、多分、かなり良いように説明をしていた。

七海はあまり納得していなさそうだったけど、須賀はその話を終わらせ、


「で、主任。主任が二年も彼女いないって、もう女はいらないって感じなんですか?それとも、仕事が彼女とか言っちゃう感じですか?」


俺に話を振る。

そんな事を言う須賀に、“どんな噂が流れているんだ?”なんて思ったけど、俺の噂はいい噂じゃない事は確かだし、聞くのはやめておいた。


< 124 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop