しあわせのかたち
「仕事が忙しくなったっていうのはあるけど。まぁ、彼女はいらないってわけではないよ」


そう、いい加減な付き合いはやめたけど、別に女がいらないわけじゃない。

もし、特に役職も変わらず、環境も変わらなかったら、今もいい加減な付き合い方はしていたかもしれない。

まぁ、でも、その付き合いが面倒くさくなったのもあるから、忙しくなくても、そんな付き合いをしていたかはわからないが。


「そうなんですか?じゃぁ、この子なんてどうですかー?今、この子も彼氏いないんですよー」


俺の答えを聞いた須賀が、七海の肩に手を置き、引き寄せながら言う。


あぁ、やっぱり須賀は俺に興味がないみたいだ。


別にその事を不快に思うわけでもなく、少しホッとする。

こういう部下がいると、仕事はしやすい。


「……っ!?何言ってんのよ!!」


そして、そう言いながら慌てている七海も俺に興味がないのがわかる。

そんな二人を見て、俺はなんだか楽しくなる。

いい加減な付き合いを好んでいる時は、容姿だけで寄って来ても、割り切った付き合いが出来ればそれでいいと思っていた。

ただ、仕事は別。

そんな女とは仕事はやりにくかった。

仕事中なのに、媚を売ってきた子もいた。

もちろん、突き放したが。

だけど、この二人はそれがない。

須賀の場合は、単に彼氏のいない七海に誰かいないかな?というお節介で、とりあえず言ってみたってだけだろう。

俺のよくないであろう噂を聞いているのに、そんな俺を本気で仲のいい同期に勧めないだろう。


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