しあわせのかたち
この時は、特別意識はしていなかった。

俺の容姿を気にしない事に好感は持っていたけど、それは須賀も同じ。

まぁ、“素直な子だな”と思ったし、“可愛らしい子”だとも思っていたけど。

だけど、次第にその気持ちも変わっていった。

一緒に仕事をしていて、何事にも一生懸命取り組む姿に好感を持った。

それに、七海は残業が続いて疲れていても、話し掛ければ笑顔で返事をする。

素直に感情が顔に出るのを見ていて楽しいけど、七海の笑顔を見ると、俺は癒されるようになっていった。

そして、俺はそんな七海の笑顔が見たいと思うようになっていく。

一緒に仕事をするようになり、そして、話すようになり、次第に俺の心の中に部下に対する感情とは違う別の感情が芽生え始めてきた。

“七海の事をもっと知りたい”と思ったし、“七海と一緒に居たい”という気持ちが強くなる。

それに、“俺の事も七海に知って欲しい”そう思っていた。

だけど、出会って間もない俺達。

俺はゆっくりとこの恋を進ませるつもりだった。


だけど、そんな悠長な事を言っていられなくなる――…


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