しあわせのかたち
次の日――…


朝、起きて鏡を見ると、やっぱりまだ目が腫れていた。

だけど、昨日いっぱい泣いたからか、気持ちは落ち着いていた。

私はとりあえず化粧で腫れた目を誤魔化し、会社に出社する。

先に出社していた弥生は私の顔を見て、


「ちょっと、碧!その顔、どうしたの!?」


驚いたように声を掛ける。


須賀 弥生(すが やよい) 23歳。

同期で、私と同じ経理課。

どこにでも居るようなタイプの私と違って、弥生は美人だし、スタイルも良い。

そして、要領も良く、仕事も出来る。

会社に入ってから知り合ったけど、“親友”と言っていいくらい仲が良いし、何でも話せる。

そして、昨日、私が雄二とデートをする予定だった事も知っている。


「何かあった?」


少しは誤魔化せているけど、目が腫れている私の顔を弥生は心配そうに覗き込む。


「えっと……、うん」


本当は昨日、弥生に話したかったけど、弥生はデート中。

だから、昨日は連絡しなかった。

弥生には話を聞いてもらいたいけど、今は会社だから話せない。


「後で何があったか話してよ」


その事に気付いた弥生は、そう言って自分のデスクに戻った。


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