しあわせのかたち
「七海、大丈夫か?」


須賀に支えられながら、化粧室から出て来た七海に声を掛ける。


「あっ……、すみません。意識もはっきりしていますし、気持ち悪くもないんで大丈夫です」


そう答える七海は、意外とハキハキしていたから、本当に大丈夫なのかもしれない。

だけど、今日の七海は顔も赤いし、足元もふらついている。

だから、七海を送って帰ろうと思っていた。

でも、俺がそれを言う前に、


「主任。すみませんが、七海さんの事、送って貰ってもいいですか?」


須賀に先に言われた。

一瞬、俺の七海への気持ちが須賀にバレているのか?

とも思ったけど、気付かれてはいないみたいだ。


「あぁ。まぁ、今日は七海が嫌がっても送るつもりだったよ」


俺は、気持ちがバレていない事にホッとしながら言う。

今、“七海が嫌がっても”って言ったが、七海は嫌がるというより遠慮をされそうだな、とは思ったけど。

まぁ、嫌がろうが、遠慮しようが、俺は七海を送るつもりだ。


だけど……


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