しあわせのかたち
「いきなりだなー。いないよ。確か……、二年位、彼女はいないかな」


ははっと、笑いながら碓井主任は答えてくれた。


「あれ?じゃぁ、あの噂はデマだったのかな?」

「噂?」


ボソッと呟いた弥生に私は尋ねる。


「噂って何だ?入社後すぐに大阪支社に配属になったのに、本社で俺の噂が流れていたのか?」


弥生の呟きが碓井主任にも聞こえたらしく、少し驚いた表情で弥生に聞く。


「えっと、あの……」


私はどんな噂かは知らないけど、弥生は言いにくそうに言葉を詰まらす。


「まぁ、いい噂じゃないだろうけどな」


碓井主任は何か思い当たるのか、苦笑いになる。

噂を知る弥生はもちろん、碓井主任も何となく想像が付いているみたい。

だけど、私はどんな噂なのか全くわからなかった。

私が、きょとんとしていると、


「大阪支社に、仕事が出来てカッコイイ人が居るって話。その主任がうちに異動してくるってなったから、主任の異動初日、先輩達、気合入っていたでしょ?」


弥生は、そう教えてくれた。


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