しあわせのかたち
「うん」


でも、そんな噂なら、本人に話しても大丈夫な気がするんだけど。

なら、どうして、弥生は言いにくそうにしていたのだろう?

頷き、弥生をじっと見ていると、


「えっと……、主任はモテるって事よ」


あまり納得してなさげな私にそう言って、「うん、そう。そうなの!」なんて、自分の言葉に弥生は納得していた。

そんな弥生を見て、本人を目の前にしては言いにくい噂なのだろうと思い、これ以上は聞かないでおこうと思った。


「で、主任。主任が二年も彼女いないって、もう女はいらないって感じなんですか?それとも、仕事が彼女とか言っちゃう感じですか?」

「仕事が忙しくなったっていうのはあるけど。まぁ、彼女はいらないってわけではないよ」


楽しそうに碓井主任と話している弥生の隣で、私は一人ビールを飲んでいた。


こういう飲み会って、先輩達みたいにカクテルとか酎ハイとかを飲む方が可愛いんだろうなぁ。

女だけで飲む時は、焼酎とか日本酒とか、普通にのんでいるしね……、先輩達。


周りを見渡しながら、呑気にそんな事を考えていると、


「そうなんですか?じゃぁ、この子なんてどうですかー?今、この子も彼氏いないんですよー」


私の肩に手を置いて、グイッと引き寄せる弥生はにこにこと笑顔でそんな事を言った。


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