しあわせのかたち
「いやー、七海さん、可愛いから、彼氏いそうなのになって思ってね」


私が、可愛い……?

ないないない。

可愛いっていうのは、柚実みたいな子をいうんだよ。

まぁ、性格はアレだけど、見た目は可愛いからね。


“私が可愛いなんて、あり得ない”と思い、黙っていると、


「なぁ……。部下になる子達をこんな風に言うのはなんだけどさ」


碓井主任は少し私に身体を寄せて、少し言いにくそうに口を開く。


「七海さんと須賀さん以外の女性社員達って、いつもあんな感じなの?」

「あんな感じ、と言いますと……?」

「こんな事を自分で言うのはどうかと思うけど……。正直、俺、自分がモテる自覚はある。だから、いつもの事と言えば、いつもの事なんだけど。でも、あんなにベタベタと触れてきたり、“狙ってます”オーラを出されてもさ……。個人的に飲んでいる時ならまだしも、これ、会社の飲み会だろ?だから、ちょっとな……」


声を潜め、そう言う碓井主任は苦笑いになる。


あぁ……

そういえば、私と弥生の居る席に来るまで、主任は先輩達に捕まっていたな。


< 32 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop