しあわせのかたち
「うちの課の男性社員が悪いとはいいませんけど、誰が見てもカッコいい人ってタイプはいなかったから、嬉しいんじゃないんですか?だから、先輩達、テンション上がっちゃって、つい……って感じだと思いますよ?」


上司に対して、テンション上がってつい、会社の飲み会でベタベタ触りまくるのは、どうかと思いますけどね。

先輩二人とも彼氏いないって言っていたから、本気で狙っているのかもしれないけど。


「へぇー。七海さんも俺の事、“カッコいい”って思ってくれてるの?」


碓井主任はにこにこしながら私を見る。


「えっ、いや……。まぁ、カッコいいんじゃないですか?」


って、私、本人目の前にして、何言ってるのよ!

いや、好き嫌いは別として、碓井主任はカッコいいと思うよ。

でも、本人にそんな事を言うって、恥ずかしすぎる!!


かぁっと赤くなった顔を見られたくなくて、私はビールをくいっと飲む。

テーブルの上にグラスを置くと、ビールが注がれる。


「あっ、すみません」


碓井主任からビール瓶をもらい、碓井主任のグラスにビールを注ぐ。

その後は、さっきの会話なんてなかったかのように、“仕事はどうだ?”とか、経理課の人達の話をした。

正直、私は人見知りとまではいかないけど、仲良くない人にはあからさまに構えて話す。

というか、必要最小限しか話さない。

だけど、仕事の話や会社内の話をしているのだけど、碓井主任はすごく話しやすく、話していて楽しかった。


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