しあわせのかたち
「いい人、だよ?」

「答えになってねぇよ」

「話しやすかったよ?」

「いや、だから……」


……っていうか、阿部、何か怒ってない?


私の腕を掴む手の力が、だんだんと強くなってくる。


「なぁ、お前さ……。その主任とやらの事、好きなの?」


阿部は機嫌が悪そうにそう言った。


……はい?

意味わかんないんですけど。

っていうか、何で私がキレられているの?

例え、私が碓井主任の事を好きになったとしても、そんな事、阿部には関係ないし!!


「はぁぁ!?何、意味わからない事言ってんの?そんな訳ないじゃん!!異動してきたばっかりだよ?っていうか、主任とちゃんと話したのって、今日が初めてだし!それに、仕事の話しかしてない!ってか、腕痛いから離してよ!!」


キッと阿部を睨みながらまくし立てると、阿部は渋々、私の腕を離した。


「私、戻る!」


私は阿部の言葉と態度に苛立ちながら、席に戻った。


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