しあわせのかたち
瓶ビールが配られ、私は碓井主任や近くに居た人にお酌する。

そして、乾杯し、目の前の料理をつまみながら、目の前に座る弥生と話す。

その間、何度も“碓井主任と喋れ”と視線で言われたけど。

私も視線で“無理!”と答えていた。


「あの子達のパワーはすごいな……」


弥生と話しながら、そんなやり取りをしていると、碓井主任は先輩達の方を見ながら苦笑いになる。

碓井主任の視線の先には、望月くんを囲んだ先輩達がいた。

ちなみに、後輩の女の子は、年下の望月くんに興味がないのか、碓井主任の歓迎会の時とは違い、他の男性社員達と楽しそうに話していた。


「そういえば、主任の時も大変そうでしたよね」


碓井主任の視線の先に気付いた弥生は、ははっと笑う。


「あぁ。だから、君達の方へ逃げて来たんだよ。君達二人は、あんながっつきはなかったからね」

「主任。逃げてきたって……」


碓井主任と弥生は笑顔で会話をしていた。

だけど、私は碓井主任の隣で緊張して、会話に入れないでいた。

だから、ただ、碓井主任と弥生の会話に耳を傾けていた。


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