しあわせのかたち
弥生が他の人と話し始めると、


「今日は大人しいんだな」

「へっ?」


碓井主任が私に話を振ってきた。

いきなり碓井主任に話し掛けられた私は、間抜けな声が出てしまった。

私は恥ずかしくなって、顔は真っ赤になり、俯いた。


「なんだよ、その返事は」


碓井主任はそう言って笑うと、


「七海。今日、飲むペース早くないか?大丈夫?」


少し心配そうに私の顔を覗き込む。


何か、最近……

みんなの前と、二人で居る時の態度が違う気がする。

残業でたまたま二人になった時とか、私を見る眼差しが優しかったり、優しく微笑んでくれたりしている気がするんだ。

碓井主任への気持ちに気付いた私が、自分に都合がいいように解釈をしているだけかもしれないけど。


今日は、というと。

碓井主任の言うように、いつもより飲むペースが早い。

それは、緊張のし過ぎで、飲んでなきゃやってられない、ってなっていたのだけど。


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