しあわせのかたち
「えっ?きゃっ!?」


だけど、私はいきなり腕を引っ張られ、碓井主任とは違う誰かの腕の中へ。


何?誰?


なんて思いながら、顔を上げると……


「阿部……?」


碓井主任の事をまっすぐ見つめている阿部だった。


「七海は俺が送っていきますので」


阿部はそう言いながら、腕の中にいる私をぎゅっと抱きしめる。


「君は……」


私もだけど、碓井主任もいきなりの事に唖然としていた。


「では、失礼します」


だけど、阿部はそんな私達の事は気にせず、碓井主任にお辞儀をして、私の腕を引っ張り歩き出す。


「えっ?ちょっ……、阿部!ねぇ、阿部ってば!!」


歩き出す阿部に私は声を掛けるが、阿部は無言のまままっすぐ前を見て歩く。


「……主任、すみません。お疲れ様です」


私は阿部に腕を引っ張られながらも、碓井主任に挨拶だけはした。


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