しあわせのかたち
『ねぇ、碧。迷っているの?』

「私が好きなのは碓井主任なんだけど……。阿部の事は仲の良い同期としか思っていなかったから、急にそんな事を言われて……。ちょっと混乱している。だから、どうしたらいいか、わかんない……」


阿部の事は嫌いじゃない。

でも、阿部に対しては、同期だけど、結構何でも話せるし、どこか友達のような感覚だった。

阿部の気持ちは、全く気付かなかったし、驚いたけど。

だけど、“好き”っていう気持ちは嬉しい。

嬉しいけど……


だから、私の心は戸惑っていた。


『主任の事が気になるかもしれないけどさ。阿部の事もちゃんと男として見て、考えてみたら?それに、阿部なら大丈夫じゃない?今までの男みたいに浮気や二股するタイプじゃないし』

「うん。阿部の事、ちゃんと考える。あっ……」

『どうした?』

「主任、どう思っただろう……」


ただ、酔っぱらっている部下を送るっていうだけだったのだろうけど。

それに、碓井主任からしたら、部下のプライベートなんて関係ないけど。

阿部が現れ、私の意志とは違い、阿部に勝手に連れて行かれた。

それを、碓井主任がどう思ったか、急に不安になった。

阿部は仲の良い同期なのに。


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