しあわせのかたち
その時、「お疲れ」と声が聞こえ、私はドキッとする。


あれ?何で?

確か、定時を過ぎてしばらくしてから、帰ったはずじゃ……?


私はドキドキしながら、声のした方を見る。


「主任……。帰ったんじゃなかったんですか?」


すると、碓井主任がいつの間にか、私の側まで来ていた。


「帰ろうと思ったんだけどな……」


碓井主任がボソッと何かを言ったけど、私は聞き取れなかった。


「それより、こんな遅くまで残業か?女なんだから、あまり遅くまで残るなよ」

「もう終わりました。って、遅くって……、まだ20時30分じゃないですか。今日は残業にしては早い方ですよ」


私は緊張のあまり、早口で答えた。

だって、今、職場とはいえ、碓井主任と二人きり。

ドキドキするなという方が無理な話だ。


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