しあわせのかたち
「阿部とは何でもないです。同期で仲がいいだけです」

「じゃぁ、付き合ってはないんだね?」

「はい」


最近の忙しさで、何も考えていなかったけど。

だけど、本当に、阿部の事をちゃんと考えなくちゃ……


「……ならよかった」


私が阿部の事を考えていたら、碓井主任はまたボソッと呟いた。


「……?何か言いました?」

「いや、何でもないよ。七海、そろそろ帰ろうか」


碓井主任が何を言ったのか聞き取れなかったから、聞き直したが、はぐらかされてしまった。

そして、お会計をし、お店を出た私達は駅の方に歩き出す。

ふと道を挟んで反対側の歩道を見ると……


あれって、阿部と……

誰?


私の場所から表情は見えないが、阿部が女の人と腕を組んで歩いているように見えた。


えっと……

どういう事なんだろう?

“俺の事を男として見れるか、考えて欲しい”

そう言っていたのに。


私が好きなのは碓井主任なのに、阿部が女の人と腕を組んで歩いている姿を見て、私は何故かショックを受けていた。

そんな阿部の姿を見たくなくて、私は視線を逸らし俯いた。


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