しあわせのかたち
「なぁ、七海……」


どうしようかと考えていたら、碓井主任が口を開く。


「いきなりこんな事を言われても、困ると思うけど……」


何を言われるのかわからない私は、ドキドキしながら碓井主任を見る。

すると、碓井主任も私をじっと見つめていた。


「俺……、七海の事が好きなんだ。俺と付き合って欲しい」


……えっ?

今……

今、何て言った?


驚きのあまり声が出なかった私は、碓井主任を見つめたまま固まっていた。


「前に一目惚れの話、したよね?本当に今までは一目惚れなんてした事なかったんだ……。

異動初日に初めて七海を見た時、“可愛らしい子だな”って思った。でも、七海は部下だし、それに俺自身、一目惚れなんてした事がなかったから、その時は、別に気にも留めてなかった。
だけど、一緒に仕事をするようになって、何事にも一生懸命で、疲れていてもいつも笑顔な七海に俺は好感を持つようになった。そんな七海の笑顔に俺は癒されたし、そんな七海の笑顔が見たいと思うようになったんだ。まぁ、今思えば、最初から七海に惹かれていたのかもしれないけどな」


碓井主任は私をじっと見つめたまま、そう話す。

その視線に、私は視線を逸らす事すら出来なかった。


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