しあわせのかたち
私達はコンビニを出て、近くにある河原に行く。

そして、河川敷に座る。


緊張する……

だけど、ちゃんと返事をしなくちゃ。


「あの、阿部……」


返事をしようと阿部を見ると、阿部はまっすぐ私を見つめていた。


「えっと、あのね。この間の返事なんだけど……」

「うん」


阿部は寂しげな表情で頷く。


「あの……、ごめんなさい。やっぱり……、阿部とは付き合えない。ごめん……」


私は頭を下げながら、阿部への返事をした。


「七海、頭、上げて。俺も気付いてはいたよ。七海はさ……、アイツの事が好きなんだろ?」


えっ?


阿部の言葉に驚いた私は、顔を上げ阿部を見る。


「あの主任の事、好きなんだろ?」


もう一度、阿部は優しくそう言った。


「……わかんない」


阿部に告白されるまで、私は碓井主任の事が好きなのだと思っていた。

今も碓井主任の事が気になるけど。

でも、いろいろ考えたりしているうちに、自分の気持ちがわからなくなっていた。


「でも、阿部の事はやっぱり友達だとしか思えないの」


阿部と一緒に居たらラクだし、気を使わなくていいけど。


「そっか……」

「うん……、ごめんなさい」


私はもう一度、頭を下げる。


< 83 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop