しあわせのかたち
就業時間も終え、私は待ち合わせ場所へ向かう。

今日、碓井主任は車で来ていたらしく、会社から少し離れた場所で待ち合わせをした。


「すみません。急に……」


助手席に座り、私は謝る。


「いいよ。俺も、本当はずっと七海の事を誘いたかったから。とりあえず、ご飯食べに行こうか」

「あっ、でも……」


今日は碓井主任へ返事をする為に、時間を作って貰った。

しかも、お断りする為に。

それなら、今、さっさと返事をした方がいいんじゃないか。

そんな事を考えていると、


「今日、七海が話したい事はわかっている。でも、ご飯くらい一緒に食べないか?」


碓井主任はそう言いながら、私をじっと見つめる。

そう言われた私は、「はい」と頷いた。

私が頷くと、碓井主任は嬉しそうな顔を見せ、車を走らせた。


そして、隠れ家的なレストランに連れて行ってくれた。

私の心の中では、お断りする事は決まっている。

だから、車の中もそうだけど、食事中、何を話そうかと思っていたけど、仕事の話をしたり、碓井主任に聞かれた事に答えていた為、気まずさはなかった。


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