ボクサーな彼女
彩は陸に連絡した。

けど…忙しいから会いたくないという陸。

彩は不安になって理亜に連絡した。

「彩か?どした」と優しく聞いてくれる理亜に思わず涙が溢れそうになる彩、

「最近陸どーしてるかな?って思って。全然会えてなくて…って私も昨日までずっと練習してたからなんだけど…」と彩が言うと、

「そうか。うん、まぁ、お前、冬のイベント忘れてない!?」と理亜、

「あー、もしかして…クリスマス?」と彩が言うと、

「そう。今までボクシング優先でお祝いしたことないだろ?今年はちゃんとしろよ。俺が言えるのはここまで。
鈍感な頭できっちり考えて、俺の言いたいことは察してくれ」と理亜は言った。

そして付け足すように「まぁ、なんかあったらいつでも俺に電話しておいで」と優しく言って電話は切れた。

彩は必死で意味を考えた。

けど、ボクシングバカの彩に答えはわかるはずなかった。

迎えるクリスマスー

陸から電話がかかってきた。

「今から会いたい」と。

彩は久々の陸からの誘いに心が弾んだ。

普段オシャレなんて興味のない彩が、陸とのデートのために、服を悩んでいた。

そして、服装も無事決まり、陸の待つ公園に向かった。

陸は手をふって待っていてくれる。

「ごめんね、遅くなって」と彩が声をかけると、

「大丈夫ですよ。今日の彩さん、いつもよりセクシーです。いつもきれいだけど…今日は格別。もしかしてたくさん悩んでくれたんですか?」と笑顔の陸に、

「うん。良かった。そう言ってもらえて、ありがとう」と彩は笑った。

そして、「行きましょう~」と陸は言って手を出し、彩の手をしっかり握った。

そして、歩き出した。

陸はプランもきっちり考えていた。

「どこ行くの?」と彩が聞くと、

「水族館だよ。覚えてる!?俺らが初めてのWデートで行った場所だよ」と陸が言うと、

「覚えてる。私が理亜さんに本音を伝えた場所だもん」と彩は微笑んだ。

二人はゆっくり水族館に向かった。

水族館に着くと、辺りはクリスマスモード全開でクリスマスソングが流れている。

「人多いね~」と彩が言うと、「まぁ今日はクリスマスだからね~」と陸は言った。

「あっ、えっ?今日がクリスマスだったの?忘れてた」と彩は言った。「やっぱり?そうだと思ってたよ。誕生日も覚えてないもんね?クリスマスなんてもってのほかでしょ。
けどね、彩さんにとっては今年が、学生最後のクリスマスだからね、一緒にお祝いしたかったんだよね。デートしてくれてありがとうございます」と陸が言うと、

「そう、私こそありがとう。と、ごめんね。忙しかったんでしょ?栄介に言われたのよ。練習ばっかしてないでたまには休んでって。そして、陸とデートしてあげてって」と彩が言うと、

「アイツ…」と陸は苦笑した。

二人は存分に水族館を楽しんで、水族館を出た。


「今日は俺に付き合ってもらうからね?いつも彩さんが俺を引っ張ってくれてたから」と陸は笑うと、

「わかったわ、頼むわよ」と彩は言って、陸の手を強く握り直した。

次に向かったのは大きなショッピングモール。

「ショッピングモール!?」と彩が聞くと、

「普段のデートであんまり来ないじゃないですか。なので一緒に色々見たいなあって思ったんです」と陸が言うと、

「確かに…」と彩は笑った。

そして、二人はショッピングモールの色々なお店をたくさん見て、

フードコートで休憩してまたお店を見て回った。

そして、ゲームセンターのコーナーに行き、「彩さん、プリクラ撮りましょ~記念に。今の機種は最新式のいいやつたくさん揃ってるので、いいやつ撮れると思うんですよね!!」ときらきら目を輝かせながら言う陸に、腕を手を引っ張られ、「いいよ」と笑った。

「陸楽しそう」と彩が言うと、「もう、最っ高に楽しいです!!彩さんは楽しくないですか?」と言う陸に、「楽しいよ」と彩は微笑んだ。

二人はプリクラ機を見て回りながら、これにしようよ!!といって、中に入った。

色んなポーズをしてから陸は彩のポッぺに軽くキスをし、彩がそれに驚いているという構図のプリクラも撮った。

陸はほんとに楽しそうに笑っていた。出てきたプリクラを見て二人は笑った。

そして、「俺、これスマホに貼る!!」と陸は言って、スマホにプリクラを張った。

「彩さんお腹すいてませんか?」と陸が聞けば、「少しすいたかな?」と彩は答えて二人は食事することにした。

ショッピングモールのフードコートで食事をして充分に満喫した二人は外に出た。

二人は手を繋ぎしばらく歩いて公園のベンチに座った。

「今日はクリスマスだからね、俺、彩さんにクリスマスプレゼント用意したんだ!!」と陸は言って、小さな包みを出すと彩に渡した。

「わあ、なんだろう?開けていい?」と彩は目をきらきらさせながら言うと、

「どーぞ」と陸は笑った。彩が包みを開けると、ネックレスだった。

「かっ、可愛い~。陸、ありがとう。凄く可愛いね!!嬉しい」と笑った彩。

「実はこないだ偶然見つけて…彩さんに似合いそうだなぁ~って思ったんです。それで…彩さんにプレゼントしたくて…俺、頑張って短期のバイトしてたの。だから最近忙しくて会えなかったんだよね!!ゴメンね?」と陸は言った。

「ううん、私こそゴメンね。何も知らなくて。今日だってクリスマスなの忘れてたし」と彩が言うと、

「大丈夫ですよ。彩さんがそういう人だってこと俺、わかってますから。ネックレス、貸して、着けてあげる」と陸に言われ、彩はネックレスを陸に渡した。

陸は彩の首にネックレスを着けた。

「やっぱり似合いますね!」と陸は満足そうに笑った。

「ありがとう、大事にするね」と彩は笑った。

「ねぇ、そろそろ場所変えませんか?寒くないですか?」と陸は言って、立ち上がった。彩もつられて立ち上がった。

「ねぇ、陸、あのね…」と彩は声をかけた。陸は黙って聞いていた。

急かすわけでもなく、彩が話すのを優しく笑って、待ってくれた。

「あのね…えっと…私、その…今日がクリスマスだったの忘れたんだけどね、こないだ理亜さんにクリスマスぐらいちゃんとしろよって言われて…その…プレゼントは用意したの。けど、今日久しぶりに陸に逢えると思ったら凄く嬉しくて…渡そうと思って持ってきたんだ!!」と彩は顔を赤らめ、少しうつむきながら言った。

「ほんと!?俺、めちゃくちゃ嬉しいです!!彩さんからプレゼントもらえるなんて!!」と陸は大袈裟なほどに喜んだ。彩はかばんから小さな箱を出して「はい。メリークリスマス?」と言って、陸に差し出した。
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