ボクサーな彼女
着いた場所はとあるジムの前だった。

「どうしてここ?梨田ジムですよね?」と栄介が言った。

「そう。私がお世話になるところよ!ご挨拶にと思って…ボスと草津さんがいるの!!」と彩は言ってジムの中に入っていった。

栄介も後を追うように、中に入った。

「こんにちわ~」と彩が声をかけると、オーナーが出てきて、

「彩さん、いらっしゃい。今日は見学かな?」と優しく迎えてくれた。

「はい。私が育ててる後輩を連れてきたんです」と彩は言った。

「栄介!!」と声を揃えて迎えてくれたのはボスと草津。

「えーと栄介君?聞いてないけど…?」とオーナーは言ってボスの顔を見た。

「うちの後輩です。1年もかぶってませんので…ちなみに中学は草津と同じだったらしいです。彩に似た部分があって、彩は大切に育ててきたんです。優秀なボクサーです」とボスは言って、栄介はペコリと頭を下げた。

「なるほどね。うちむきということかな?」とオーナー、

「あ、いえ、そんなつもりは…けど、ほんとに私がオーナーさんにぜひあって欲しかったんです!!」と彩は言った。

「君がそこまで大事に育ててる後輩なら、逢っとく価値はあるよね」とオーナーは笑った。

「はい」と彩が嬉しそうに言うと、「まぁ、ゆっくり見学していってよ」とオーナーは言って去って行った。

彩と栄介はしばらく見学していた。

ボスも、草津も、凄かった。二人は、言葉が出てこず、思わず見入った。

「私、こんな凄いところで、プロとして、頑張れるんだね!すごく楽しみ」と彩は言った。

「そうですね!彩さんならどこでも頑張れますよ!」と栄介はニコニコしながら言ってくれた。

彩はその言葉がすごく心強かった。しばらくして、二人は、ジムを出た。

そして、歩き始めた。

「どう?頑張れそう?」と彩が聞くと、栄介大きくうなずいた。

二人は、歩きながら会話を楽しんでいた。

そんな矢先、起きてはならないあの悪夢が起きてしまった。
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