ボクサーな彼女

その日から数日後、彩は目を覚ますことなく、卒業式の日を迎えた。

栄介も陸も泣いていた。

そして、卒業式を終えた二人は、揃って、彩の病室を訪れていた。

そのころ家では、「またあの子、事故ったのね。今度は厳しいのかしら？」と苦しそうに言う母に、

「なぁ～に、大丈夫だよ。アイツは」と父は言って母を抱き締めていた。

そこに、オーナーがきて、「娘さんの容態はまだ変わらないようですね。けど、こんなことで契約は打ち切りませんから。私はあの子の強さを信じ、待っていようと思います。リハビリが必要なら一緒に頑張ります。なので、心配なさらずに、うちに娘さんを預けて下さい！お願いします」と言って、頭を下げた。父と母は大きくうなずいた。


更に数日が過ぎても一向に目を覚まさない彩。

陸は「彩さん、早く目を覚まして…」と彩の手を握るが反応はない。

理亜は忙しくほとんど来れないため、変わりに紀子が様子を見に来ていた。

ボスと草津も、練習の合間に、何度も何度も彩の様子を見に来て声をかけるが、彩は反応しなかった。