ボクサーな彼女

第11章 新たな門出

後日ー陸の移籍は決まった。陸は１年ももたなかった。梨田ジムに移籍した陸は、ボスや、草津、彩と共に必死に頑張った。
彩は日を追うごとに強くなっていき、試合では連勝をするようになった。そして、女性ボクサーが少ないというのもあるが、彩の努力は桁外れで、周りを寄せつけない強さを発揮した。その頃には陸も、それなりに頑張り、安定したボクサーになっていた。
いつまで経っても抜けない師弟関係のボスと彩はボクサーとして、ボスを慕っていたし、ボスもまた、彩を大切にしていた。
二人の関係が気になりすぎて、陸は集中出来ないときもあった。それでも彩が彩らしくプレイ出来るのはボスのおかげだと強く思っていた。
栄介は坂野ジムに入って、それなりの活躍をしていた。それを見るたび彩は嬉しかった。そうして、月日は流れて行った。
陸はボスに出逢い、考え方が変わった。そして、彩と同じように、ボスに励まされ、支えられ強くなっていった。
陸に白星がついたのは、デビューからなん十試合も経ってからだった。彩に励まされ、何度も泣きながら、嬉しさを表現した。