ボクサーな彼女
第3章 過酷すぎる現実
JKまで引っ張ってこられた彩はまだ入学もしていないのに歓迎され、練習をさせられることになった。

そこには何故か、学校が違うはずの草津と、健がいた。

草津は彩をライバルと認識している。

健は中学は同じだったが、高校は離れた。

今は草津と同じ寮制の高校に行き、ルームメートとして一緒に頑張ってる。

「どーして二人がここにいるんですか?」と彩が言うと、

「いやぁ、ボスに誘われてね…来たんだよ!!これからもライバルとしてお世話になるから、ご挨拶にね」と草津が言った。

そして、一緒に軽く練習をした。

入学前にも関わらず、高校生に混じり練習をするようになった彩は以前に増しての練習に毎日吐きながらも食らいついて行った。

負けたくない!!その思いだけが彩をつき動かす。

周りが気の毒に思い、止めても、やめることなくまだやれると自分に鞭をうち練習を続けた。

数週間後ー 入学式を迎えた彩は新入生代表挨拶を務めた。

無事入学式を終えて晴れてJKの生徒になった彩はさらに過酷な毎日を送ることになった。

彩が吐かずに練習を出来るようになったのは、入学して1ヶ月が過ぎた頃だった。

周りは彩の努力に刺激され、名門私立に相応しく、強くなっていった。

休みの日は陸と一緒にのんびりと過ごした。

疲れ顔の彩に、「彩さん、大丈夫ですか?ムリしないで下さいね」と陸は声をかけた。

ある日、「彩、高校にはな大会がふたつあるんだ。
ひとつは学年別に個人で戦う個人戦と、もうひとつは団体戦だ。
団体戦はな、学校対抗で行われるチーム戦だ。
一番多く勝利した学校の勝ち…。
相手はランダムで選ばれる。
だから学年とかは関係ないんだ。
お前には両方参加してもらいたい。
とにかく場数踏んでほしい。
化け物ばっかで負けることがあるかもしれない!!それでも自分らしく、戦ってくれ 」

とボスに言われ大きく頷いた。

そして、大会までの2ヶ月、彩は必死で練習をした。

迎える個人大会の日、理亜やボスはそれなりの成績を残した。残すは1年生の試合のみとなった。

彩は3回戦で負けた。

悔しくて涙が止まらない。

そこに陸が来て、彩を思いきり抱き締めた。

そして、「かっこ良かったよ。彩さん、俺、また好きになっちゃった。悔しいよね…俺も悔しい。あんなに頑張ってたのに…けど、まだ始まったばかりだよ?これからもっと強くなればいいじゃんね。一緒に頑張ろう!」と言った。

「ありがと、陸」と彩は笑った。

数日後、今度は団体戦が始まった。

日本でボクシング部のある学校は50校、

そのなかで頂点が決まる。

JKは長らくトップに君臨し続ける高校、

極度のプレッシャーのなか、試合は始まった。

試合が進むに連れて覚醒していく彩。

彩は一撃必殺の大技を武器に次々に相手を沈めて行った。

素早い動きと完璧な洞察力、反射神経は群をぬく。

異例の、連続10人抜きをした。

そして、JKは団体戦優勝へと大きく貢献した。

そこから彩の伝説は始まった。

大会も無事終わり、学校は夏休みに入った 。
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