運命。
「よく、ここにこれたな、羅々。」
バカにしたような笑みをしながら聞いてくる。
「面接するまでここが本社だなんて、知らなかったの!………知ってたら受けなかったわ。」
「そんなに俺が嫌か。」
「嫌よ。今日はこのお話、無かったことにしてもらうために来たの。あなたの秘書なんて嫌よ。」
私は彼を睨みながら言い返す。
でも、私の睨みは彼に効かなかったみたい。
「ダメだ。お前はもう離さない。」
獣の様な瞳に見つめられドキッとするが、私も負けじと言い返す。
「私はあなたの所有物じゃないわ。どちらかというとあなたに捨てられた身よ。」
それを言った途端、彼の雰囲気が変わったような気がする。
彼は私に近づいてきて、私の腰を抱き寄せた。
「ならばまた、俺のものにすればいいだけだろ?」
そう言って私にキスをしてくる。
腹が立った。以上に悲しかった。
私はどこまでいっても、彼の"もの"以上にはなれない。