置手紙
「ゆーき。由井浜って人第二音楽室にいるみたい。行こう」
「懐かしい場所じゃん。第二音楽室なんて」
そう言ってふふっと笑う雪。
「そうだねぇ。あそこ随分と行ってないな」
第二音楽室それは私の安心できる場所だった。
そこは古びたピアノがある。
私はピアノなんて弾けないから触ってはいないもののなぜかそれを見ると安心できた。
きっと安心できたのはピアノがあるからだけじゃなくて誰もこない。私だけの場所。そういうのが安心できたんだろう。
私はそこでよく一日の半分以上を過ごしていた。
午前か午後のどちらかは授業を受け、どちらかは第二音楽室にこもって歌う。
人から見たらつまらない一日なのかもしれない。
でも私にはその一日のスタイルがとても心地よかったんだ。