青春とまでは言わないが、充実した時
新しい日常
朝早めに学校に来て、職員室に向かう。
今日から新しい生活の幕開けだ。
そう思って職員室の扉を開けると、そこには、暑い空気と誰も座っていないイスだけだった。
「あれ、誰もいない。おかしいな、」
キョロキョロとあたりを見渡すと、一人の女教師がこちらに気付いて、走ってきた。
「すまない、すまない。君が来るのを忘れてたよ。私は君の担任をする多田だ。多田 あかり。よろしく。」
「あはは、よろしくお願いします。」
おっちょこちょいなくせな人だな〜。
「で、一応。確認だけど。君の名前は確か〜、佐藤善次…」
「鈴木です!鈴木!!あと下の名前はあまり言わないでください!」
「なんで…?善、次、郎♪」
先生は語尾にハートか音符かどちらかをつけていたずらっぽく言った。
それは俺の神経を逆立てるのに適任だった。
くそっ、卒業したらまず殴りにしてやる!
と心に決めて先生の言ったことを無視して
「教室までお願いできますか。」
と淡々と言うと、先生は面白くない、といった顔をして、
「ついておいで。善次郎。」
と言い、歩き始めた。
教室につく頃に
「扉の前で待ってな。」
とぼそっと言われた。
先生がさっと教室に入ると、みんながこぞって
「やっぱり帰ってたんじゃないですか〜?」
と一斉に話していた。